北東亜細亜共同体論

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ロシア経済の変貌 (2025.02.24)

ロシア経済の変貌

 

 先日の2月7日、ロシア連邦国家統計局が2024年のGDP成長率を発表した。それによれば、対前年比で4.1%だった。もちろんプラスである。

 これは、先進国といわれる資本主義国の、どこよりも大きいものである。

 これをみた嫌露派の、いわゆる識者は残念がっているだろう。彼らの希望的な予想から、大きく上方へ外れたからである。彼らのなかには、マイナス成長を予想した人も少なくなかった。

 ここで筆者が言いたいことは、ロシア経済の隠された変貌である。それを隠しているのは、日本や米欧の資本主義国の、いわゆる識者たちである。

 そして、それを暴いている佐藤 優氏の、半年前の現地調査を紹介したい。佐藤氏は、宗教学者であり、作家である。元外交官でもある。

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 はじめに、ロシアの2024年のGDP成長率を、やや詳しく見てみよう。ロシア連邦国家統計局が発表したものである。

 

 この図で示したように、GDP全体では4.1%の成長率である。その内訳を需要項目別にみると、家計の最終消費支出は5.5%である。また、業種別にみると、宿泊・飲食サービス業は9.6%である。もちろん、すべてプラスである。

 これについて、これは、戦時経済になっているからだ、という解釈があるだろう。これは否定できない。だが、それだけではないだろう。

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 佐藤氏は、何といっているか。これは、ロシア経済の根本的な変質であり、活況だという。そして、それを起因とする、ロシアの人心の安定と、社会の変貌だ、という。

 同氏は、約半年前の昨年夏に、首都モスクワへ行き、街の様子を伝えている。それを、箇条書きにしよう。以下の通りである。

 

  • 街から大きな広告が消えた。これは、広告で消費を刺激する経済からの決別だという。
  • 日本や米欧の経済制裁にもかかわらず、街には商品が溢れている。

 

 この2つは、カネで計った利益だけを、最大限に追求するという市場原理主義の否定であり、それを基本原理とする資本主義の否定だろう。

 

  • 街から風俗店や賭博場が消えた。
  • 街なかで、ウットカのような強い酒を飲んで、悪さわぎをする酔っぱらいが消えた。
  • レストランは、どこも満員で、家族づれの人たちが、ビールを夜おそくまで楽しんでいる。

 

 この3つは、市場原理主義を基本にした資本主義を否定することで得られた、人びとの心の安らぎだろう。

 

  • 街のあちこちにトイレット・ペーパー付きの公衆トイレを新設した。
  • 街は、毎朝、消毒液入りの水で清掃している。
  • 街からゴミが消えた。

 

 この3つは、市場原理主義の悪弊を基本にした資本主義を、徹底的に排除したことによる、社会の変貌だろう。

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 こうした変貌は、おぞましい西欧文明への痛烈な批判だろう。

 そして、積年のNATO東漸、つまり、軍事力で脅しながらの西欧文明の東方漸進、に対する防衛戦に成功している中で、高らかに歌い上げている凱歌だろう。

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 佐藤氏が強調したいことは、これらの事実を直視せよ、ということのようだ。その上で自由に解釈し、評価すればいい、ということである。

 同感である。これこそが、学者の姿勢であり、識者の責務である。

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