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NPO中央区日中 会長 佐藤喜作より、一文が寄せられました (2015.04.17)

NPO中央区日中 会長 佐藤喜作は、人形町にある(一般社団法人)農協協会の会長です。日本有機農業研究会の会長でもあります。88歳の高齢にもかかわらず、日本中はもとより、東アジア、特に中国、韓国の農業指導で、日夜、若者以上に走り回っています。元獣医、農協組合長。現在も秋田で農業をしています。

現在、中国東北農業大学は、佐藤喜作さんの考えと技術を学び、安全・安心・おいしい米作りをすべく、協力の話が進んでいるという事です。
そんな佐藤喜作さんは、安藤昌益の研究者でもあり、日中友好の指導者でもあります。私は佐藤喜作さんに共鳴し、その教えを学び、特に、日中友好の面で実践したいと考えています。

この一文は、都心に住み生活・活動している皆様にとってはびっくりする内容かもしれません。しかし、命の問題として是非読んでください。農業と食料の問題は、農業者だけの問題ではありません。私たち都会の消費者こそ真剣に考えねばならない問題です。(理事長 佐々木昭二)

「国際土壌年」と日中友好、ミミズの力で豊穣な平和を

■現代のゆがみ■

何事も第一に原因追求による根絶を

きな臭い時代を迎えた。人類が対立し、殺戮に明け暮れする空しさ。何を求めているのであろう。人類はより幸福を求め、知と手により科学を発展させてきたのではなかったか。しかしそれは人類のエゴの終始であり、略奪の手段であり、他から奪って自己のものとする戦争の歴史であった。そして求められもしない、おためごかしの援助によって、途上国の平和を破壊し、闘争の場に引きずり込んできた。その結果、地球上の生命体の、健康や存続の危機を迎えてしまった。

2月19日の朝日新聞に次のような記事があった。「成人7割、子ども4割、OECD加盟34カ国のうち糖尿病発症率が最大であるメキシコでは、専用の機械に上体を垂直に保ったまま膝の屈伸運動を行うことにより、肥満を解決しようとしている」というものであるが、肝心の肥満の原因食の種類や内容の間違いを是正しようというのではない。こうした対症療法は日本を始め同様の傾向がある。何事もまずは第一に原因追求による根絶こそ急がねばならない。

■国際土壌年■

国連、2014年12月5日を「世界土壌デー」
本年2015年は「国際土壌年」

かかる世界に国連は全世界に問題提起する形で昨年の12月5日を「世界土壌デー」とし、本年は「国際土壌年」に決定した。昨年は「国際家族農業年」であったし、2012年は「国際協同組合年」であった。いずれも現代社会の危機に対する警告であったのに、全く一般には浸透せず何ら運動されずに経過した。今年こそ総ての人の参加で生命、健康、未来を考え人ごとではなく、わが事として動かねばならない。

それでは何故土壌年なのか、それは土壌(耕土とする)が汚染と流亡の砂漠化の危機を迎え、水や空気(PM2.5)にも及ぶ深刻な状況を呈しているからである。生命の母体ともいえる耕土が異常になれば、当然生物にストレートに影響する。

■不健全な土壌で健康を支えうるか■

糖尿病、1億人の患者と5億人の予備
日本では4人に1人が糖尿病、2人に1人が癌で死亡、認知症は5人に1人

まず先進国では戦後の近代化により、有機塩素系や、有機燐系、ネオニコチノイド等を代表とする自然界に存在しない合成物が多用された。しかし土中でも生物、植物体内でも、これらの物質を分解する酵素が無かったし、中和する事もできないものであった。しかも水に溶けないが、脂肪には溶けて動物の皮下脂肪や脳細胞にとどまり重大な障害を起こす代物である。それにカドミュムや放射性物質も加わる。次に化学肥料を始め、有機質肥料などで増収を目指して窒素や燐酸が過剰使用され、硝酸塩や燐の被害が考えられる。今では世界諸国で糖尿病が蔓延し、加えて癌の誘発に大きな役割を担っているという。中国では1億人の患者と5億人の予備がいるとされ、日本では4人に1人が糖尿病、2人に1人が癌で亡くなり認知症は5人に1人になると予想されている。

また、化学肥料の使用により、土の腐食が不足し、雨水や風で耕土が流亡するエロージョンが進行している。一方、途上国特にアフリカ等は旱魃による砂漠化が進行、土壌劣化が甚だしい。このような不健全な土壌で生産された食糧で健全な心身生命体の維持は出来ないのである。これに対応して工場での野菜製造(生産とはいえない)が始まっているが、光合成も充分ならず、土壌中の測り難い微量栄養素も欠如した物と考えられるので、健康を支えうるか疑問である。

■みんなで運動「ミミズ牧場」をはじめよう■

豊穣な土壌はミミズから

豊穣な土壌こそ人類はじめ生物の幸福の園を約束してくれるものであるが、そこに開闢以来最大の貢献をしてきたミミズの功績を無視はできない。地球上に生物が満ち溢れるようになったのは、挙げてミミズの増殖により実現したと解釈しても、間違いないであろう。地球上のミミズは、286属3千種もあり、小さいものは0.4ミリメートル、そして3メートルという巨大なものまであり、殆どの国に生存している。

豊穣な土壌は誰が作れるのか。その先頭にたつものは勿論農民でなければならないが、その助っ人は家畜である。有機農業は有畜農業で完成できるが、臭気、騒音、昆虫(蝿)などと問題があり、住居周囲が飼育を許容してくれない。分業農業、経営大型化が進む中でも受け入れ難いだろう。

そこでこの「ミミズ牧場」である。農家は生ゴミや野菜屑などがあるから、少し大型にもできるが、発泡スチロール箱をベランダに置けばそこが牧場となり、とても容易に誰もが作れる。この「ミミズ牧場」を、農家も、消費者も作って土壌問題を解決すべきである。ミミズ牧場は投資の必要もないし、特別労力も不要である。餌は家庭生ゴミでよいし、そして臭気も軽微であり、勿論騒音に悩ませられることもない。そしてそのミミズ糞は最高の有機質肥料となり、土壌年に呼応できる相応しい運動になる。

■あるNPO中央区日中会員の実践■

世界共通の話題、世界共通の運動

この発想は、我が敬愛するNPO中央区日中会員の実践である。氏は「国際土壌年」の先取りしておられ、いささかの野菜片でも棄てないでミミズの餌集めに熱中する。筆者もかなり以前、たしか14?5年前、ミミズには有機農業振興の点からも注目して、講演を聞いたり、中村方子先生の著書も2冊求めて読んでいたのに、すっかり忘れていたのだった。手早く地元のミミズをと思ったが、繁殖が年1回くらいのようである。一方外国種は旺盛な繁殖力を持っているらしいが、外来種を受け入れて妥当かどうか疑問がある。

これから市街住民や農村住民と皆で研究しながらミミズ牧場のオーナーになり、土壌年に相応しい参加をしたいものである。

因みに中国は農業、とりわけ有機農業振興と、教育に真剣に取り組んでおり、友好協会としても土壌年に相応しい話題であり、共通の運動でもある。戦争準備よりミミズ談義が世界中に広がったなら、地球は平和になるに違いない。

(NPO中央区日中 会長 佐藤喜作)

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