西欧文明の断末魔の叫びが聞こえる
長く続いた西欧文明は、いよいよ終焉を迎えるようだ。
ウクライナから、中東から、そして台湾から、西欧文明の断末魔の叫びが聞こえてくる。
地球温暖化も、西欧文明がひき起こしたものだ。灼熱した地球の全体から、西欧文明の断末魔の呻きが聞こえてくる。
だが、それらは忌まわしい西欧文明の終焉を促がすものであって、文明の終焉ではない。つぎの新鮮な文明の、産みの苦しみでもある。
新しい文明は、西欧文明と、どこが違うのか。そして、いつ交代するのか。
上の図を、やや詳しく説明しよう。IMF(国際通貨基金)の資料に基づくものである。
これは、世界の各国を、西欧文明圏の国々と、非西欧文明圏の国々とに分けて、過去33年間の盛衰をみたものである。図は、西欧文明圏の各国のGDP(国内総生産額)を合計したものが、世界全体のGDPに占める割合をみたものである。それに、筆者による33年後の予測値を加えた。
ここでいう西欧文明圏は、EU加盟の27か国に日米英加韓豪の6か国を加えた33か国とした。非西欧文明圏は、これらを全世界の196か国から除いた、中露印などの163か国とした。
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この図をみると、西欧文明圏のGDPが、世界のGDPに占める割合は、1990年は58%だった。全世界を覆う巨大な文明圏だった。それが、33年後の2023年には凋落して、41%にまで下がってしまった。
今後どうなるか。
過去33年間の、両圏の栄枯盛衰が、今後も続くと仮定しよう。そうすると、筆者の予測によれば、この図で示したように、西欧文明圏のGDPが全世界のGDPに占める割合は、33年後の2056年には4分の1にまで下がる。
33年後といっても、文明の歴史を考えるとき、それほど遠い将来ではない。いま20才の若者が、53才になる時である。働き盛りである。
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西欧文明圏は、全体として緩い軍事同盟を結んでいる。
だから、そのGDPの相対的縮小は、軍事力の相対的な弱体化になる。そして、それは政治的な覇権の失墜である。そしてそれらは、総体としての西欧文明の没落になる。
つまり、西欧文明は1990年ころは世界に君臨する巨大文明として、隆盛を極めていた。だが、その後、急速に衰退し、今から33年後には4個ほどの文明の1つなってしまう。ここで示したことは、そういう予測である。
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これは予言ではない。当たるか否か、が主題ではない。予測である。
いまは亡き恩師の神谷慶治先生なら、国民に対して、ことに若者に対して、そうなる覚悟があるか、という問題提起だ、と言うだろう。筆者も、そのように言いたい。
つまり、この予測結果は、国民に西欧文明の評価を問うているのである。この文明の根底にある、資本の搾取による格差と分断の評価を問うているのである。
冒頭の図は、世界の多くの人たちは、西欧文明に否定的であることを示している。
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新しい文明は、したがって、資本の搾取と、それによる国民の間の格差と分断を否定する文明になるだろう。
そして、それは文明の根底になる経済過程の、生産段階にまで遡った変革になるだろう。
その参考になる1つの形態が、農協や生協の先人たちが、資本主義経済を批判して築き上げた文明である。つまり、協同組合経済を、社会の根底に据えた文明である。
西欧文明の終焉は近い。その後に期待されるものは、装いを新たにした、協同社会を重視する、アジアの文明の復活ではないか。
. (2024.07.01 JAcom から転載)